ショートカットによって第3CPが第4CPを兼ねる形になり、そこから国道303号を戻り、今度は国道367号に入る。国道303号は逆走する形になり、さぞ萎えたことでしょう。もしもショートカットしなかったら逆走する距離がさらに多くなるが、これまでずっと静かだけど海のように広い湖を見て走っていたのが、もっともっとひろい日本海を見て、荒々しく打ち付ける波の音を聞いて、(琵琶湖沿いをひたすら走ってもらったのはそのギャップを大きく見せる演出のためでもある)海岸線の道(国道27号を北上してはいる国道162号)を走り、さらにいかにも日本の農道のような車の少ない田畑を走る一本道の県道22号を経てリフレッシュした気分で逆走してもらう算段だった。第3と第4CPが同じであるというのも、本来体験したことがないことを体験したことがあるように感じる既視感(デジャヴ)を応用し、物語の伏線が回収された時のような感動を長い1日の記憶の中で再現するギミックとして配置した。が、ショートカットによりすべては無意味となり、俺でさえ萎えながら逆走した。ただ、リタイアしたN田と不参加の亀G以外の3回生全員がそろって走るという珍事が起きた。
国道367号の途中に県道295号の分岐があり、ここがノーマルコースとハードコースの分岐となる。ノーマルはそのまま鯖街道を南下し、途中トンネル前で国道447号から最終CPの道の駅琵琶湖大橋米プラザに入る。ハードは県道295号から国道161号に入り、琵琶湖沿いを南下してノーマルと同じ最終CP道の駅琵琶湖大橋米プラザに入る。そう、最終CPはスタート地と同じ場所である。その狙いは、見慣れたはずのものが未知のものに感じられる未視感(ジャメヴ)の演出にある。1日で長い長い距離を走り、いろいろなことがあって、1晩お世話になったばかりの道の駅が違うものに見える。それは、すでに未知の距離数を走り続け、からだが感じることすべてが未知のものになるから。そのことを実感してほしい。そのためのギミックだった。私はスタートしたときに寝起きの眠気覚ましとして買ったものと同じ栄養ドリンクをこれから最後のコースを戦うために買い、自分で用意した伏線を回収し、自分の耐久物語完結に向け走り出した。まあ、もう暗いので伴走なのだが。
最終CPからは琵琶湖沿いを南下して山中越えをして、雨なのでボックスゴール。スタートしたときと同じ様に湖を左にして走っていたのがこのときは南下しており方向が真逆。当たり前だが湖はわっかになっていて、地図って正しいということが実感できる。こういうときに昔地図を作った人に思いをはせるのもよろしいかと思います。そして山中越えで出し切ってもらう。下級生ならからだが痛いのは当たり前。そんな中で上ってもらう。暗い中下るのは危ないが、ここだけは譲れないところだった。山中は去年の耐久でもナイトランしており、上回には経験がある。私は明るいときにも何度もこの峠を越えた。だから上回が守ってやればいける自信があった。そして肉体的しんどさ、精神的しんどさをこえて無事にゴールしたときに、今まで味わったことのない疲れと開放感が、達成感と感動に変わる瞬間を体験し、この行事に参加してよかった、このクラブに入ってよかった、これからもこのクラブを頑張りたい、このクラブが大好きだと思ってもらうための最後のギミックがこの峠だった。
私はM山とF西の伴走をした。二人ともひざを痛め、すごくしんどそうだ。私がツアー中で本当に肉体的に追い込まれた、1回生のときの個人ツアーを思い出した。4人での東北ツアー、「明日鳥海山を上る!」といって、ブロックタイヤで6テンをつんで、168,5キロ走った。上りなし、下りなしの完全な平地だったが最後のほうでは足を動かすたびに顔が苦痛の表情にゆがんだ。もう足が使い物にならないくらいで、歩くのもままならず、休んでも直るのか不安だった。花脊と夏合宿は人間の精神ではない(野獣とかそんな感じ)ので別として、私は今まであの日を越える肉体的しんどさを味わったことがない。しんどいときは常に「あのときほどじゃない」と思えるから。精神的に成長するには「限界だと思うもの」をこえないといけない。だから肉体や知識の成長よりも大変だけど、後が楽っていうのは本当らしい。だから心を鬼にして、成長しろと思いながら走らせた。リタイアとか気の緩むようなことはいわなかった。そして無事、ゴールした。
雨の中、シメ(ショートカットver.)を決行して解散。帰ってゆっくり休んでいいのにいのこしてくれるなんて元気そうで何よりだ。ポッカレモンをかけるとかとか斬新だし、なかなか激しかった。
総括とか
前もっていっていた距離(200キロ超)はマピオンで測った距離なので、本当はもっとあって、サイコンならショートカットなしで300キロくらいいきます。200キロでも長いのを「そのかわり平地メインだから」といってなだめつつ、もっと長い距離をだまして用意していました。マピオンはだましの手段だったのですが、ふらふら走る自転車のサイコンを信じている皆もどうかと思うよ。で、なぜそんなことをしたかというと前に書いたように「皆に強くなってほしいから」に集約される(私のSとしての気持ちを満足させたいというのもあったけど)。今回は結局ショートカットして220キロくらいで、最後の人のゴールは21時を過ぎていたので、ショートカットはやむをえないと思っている人も多いだろう。私は雨とパンク多発(私が把握しているだけで7回)と一部の参加者の体調不良がなければカットせずにすんだと思います。言わせてもらいますと、コースはカットなしで完璧に計算されたすばらしいコースです(変な話「カット可能である」ということ自体も計算されていたのだから)。私の距離感覚は、体力感覚を参照できないサイコンなんかよりも絶対の自信があります。それは運動部経験がなく、入部当初最下層の体力だった時代を経て今のトップ層に這い上がったから両者の気持ちがわかるからです。そして私が注ぎ込んだエネルギーも並々ならぬものがあります。ただ、私の価値観が他の参加者と違ったり、私の意図したことがあまり見抜かれずに無駄になってしまったところがあったように思います。たとえばせっかく茶碗蒸しに入っているマツタケをしいたけだと思って食べているような感じです。つまり、私の独りよがりなのですが、私自身いい経験になったかと思います。ただ、皆頑張って走ってくれたのはしっかり感じられた。そのことは素直にうれしかった。また、4回生の方々のサポートがあったおかげで安心して走れました。ありがとうございました。
OBランで写真を増やすように要望があったのですが、雨のため耐久の写真が少なくて申し訳なく思います。以下耐久下見の写真集ですがよろしければどうぞ。コースに使われていないところにも多数いっています。
レンタサイクルの置き場で雨をしのいで野宿
以下寒くて眠れなかったときに見た夜が明けるところ
文責 M沢
ご要望にこたえてKgawa PHOTO
午前2時にたわむれるS西とS本
城にて休憩
山中越え前にて食事
M沢さん お疲れ様でした<m(__)m>
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